貴様!何様?会長様!?
「ちょちょちょ、沢口先生?!」
沢口先生は私の言葉を無視して教室を出ると、教室の鍵を閉める。
その間ずっと、手首を捕まれたままだ。
「女の子を雨の夜道、1人で帰らせる訳にはいかないんだよ。担任としても、男としても」
「だ、だけどっ…」
結局私は半ば強制的に、沢口先生に送ってもらうことになった。
「あの…」
「んー?」
少し首を曲げて、私の顔を覗き込む沢口先生。
1つ1つの対応が丁寧で、紳士で、なんだか大人だ。
だけどなんだか、その笑顔はいつも笑っていないような…。
「零会長とは、仲がいいんですか?」
少し唐突だったのか、沢口先生はキョトンとした顔をする。
でもすぐに口元を緩めた。