貴様!何様?会長様!?
けど、もしそうだとしても。
私がどうこう言って、なんとかなる話しでもないだろう。
2人の溝は、もっとずっと深い。
「華奈ちゃん、こっちだよ」
「あ、はい」
ザーザーと空から降る雨が、桜の木の葉を揺らしていた。
桃色だった桜並木が、緑色へと変わってしまっている。
なんだか少し、寂しい。
けどきっと、散ってしまう事を知っているからこそ、綺麗に咲けるんだと思う。
散るからこそ、綺麗なのだ。
「ほら、乗って」
「はい。失礼します…」
沢口先生が開けてくれたドアから、私は車に乗り込んだ。
エンジンをかけ、車が動き出す。
静かな車内に響く、ウインカーの音。
「ねぇ、もうすぐ会長選挙があるの知ってる?」
「あ、はい」
一応私も生徒会の人間だし、それくらいは知っている。