貴様!何様?会長様!?
「それに私、今日も沢口先生に送ってもらう約束してますからっ」
私はそれだけ言うと零会長に背を向け、コピーの終わったプリントをまとめ始めた。
…速く。
速くここから。
急いでプリントをまとめていた、その瞬間――――
“―――ぐいっ”
「?!?!」
零会長が強引に私を振り返らせ、唇を奪った。
やっぱり私の意思なんて無視して。
「…んんぅ…」
唇が離れたと同時に足の力が抜けて、私はその場にペタンと座り込んだ。
床に散りばめられた、プリント。
その静かな印刷室には、私の心臓の音だけが響いているみたいだった。
「…気に入らない」
ボソッと独り言のように呟くと、零会長は部屋を出ていった。