貴様!何様?会長様!?
「…この、無自覚女泣かせ」
「なに?」
「べっつにー?」
そう言いながら、ナギは立ち上がる。
「零」
聞き慣れた声で、聞き慣れた名を呼ぶ。
俺は本を少しだけずらし、その時初めてナギの顔を見た。
急に明るくなった視界に、眉間にシワをよせ目を細める。
「私は、桜華の会長はアンタがやるべきだと思うよ」
気の強そうな顔をクシュッと笑顔に変えて、ナギはそう言った。
「…あそ」
俺はそれだけ言って、再び本で顔を隠した。
「じゃ、私は授業戻るから。零もいい加減戻りなさいよ?」
「分かってる」
仮にも会長が、単位を落としたりでもしたら問題だろう。