貴様!何様?会長様!?
あの印刷室での出来事以来、気まずいままだ。
零会長は喋ろうとしないけど、立ち去る気配もない。
重い沈黙にたえられなくなり、私は口を開く。
「あの…ありがとうございました…」
もうお礼しか、出てこなかった。
零会長は振り返り、私を見据える。
「……お前」
そう言いながら一歩歩み寄り、私の手首を掴み、絆創膏だらけの手を持ち上げた。
?!?!
「こんなになってでも、沢口の側にいんのか」
え…零会長気づいて…?
「………」
どうしよう。
言葉が出て来ない。
本当は違うんです、って言いたくて。
だけどそんなことできなくて。