貴様!何様?会長様!?
――――……
―――……
カサッという草の音で目を覚ます。
誰かが裏庭に来たことを知らせる音。
俺は目を閉じたまま、足音が次第に大きくなるのを聞いていた。
「はぁ…っ。ここにも零会長いないやぁ…」
期待は外れなかった。
どこを見て俺がいないなんて言ってんだ。
「もう他に、思い当たる場所なんてないし」
「どこ見てんだよ」
転んだまま俺がそう言うと、吉野は驚いた顔でベンチを覗き込んだ。
「い、いたんですか?!」
逃げも隠れもせず、普通にいたよ。
吉野は相当驚いたみたいで、口をパクパクさせる。
そんな吉野を横目で見ながら、俺は身体を起こす。