貴様!何様?会長様!?
俺を見てると心臓が痛いって。
他に言い方ないのか。
「その理由、教えてやるよ」
きっとあの日、出会った時から全ては始まっていた。
「理由、ですか?」
キョトンとする吉野の目を、真っ直ぐに見据える。
俺が捕らえても、決して目をそらさなかった。
いつも真っ直ぐで、でもどこか抜けている。
「お前の心臓は、俺が握ってるから」
「え、に、握って…?!」
目を見開いて、自分の心臓に手を当てる吉野。
「…バーカ。なのに、惚れてしまった」
口元を緩めながら、小さく呟いた。
風に舞った言葉は、吉野まで届いていた。
「……え」
それでも吉野は、聞き返してくる。