貴様!何様?会長様!?
「惚れ…?」
風になびく黒髪が、キラキラして見えた。
確かにコイツは猫なのに。
自分でそう決めたのに。
「…あぁ。俺はお前に惚れてるよ」
「…わ、私は」
今は悔しいほど、綺麗だ。
「猫だけど、図々しいの分かってるけど、零会長の側にいたいです…!」
ほら、ちっとも猫になんて見えやしない。
「心臓が痛くなるけど、その何倍も心があったかくなるんですっ。だから…!」
「だから、もう逃がさないって」
そう言いながら、俺は吉野を腕の中に閉じ込めた。
猫の分際で、俺の心を掻っ攫っていったから。
猫ごときに、完敗だ。