貴様!何様?会長様!?
何も答えない俺に、克也が呆れた顔をする。
機嫌の悪い時に、さらに“理事長”だと?
一瞬足りとも思い出したくないんだよ。
そもそも俺の怒りの根源は、約15分前にさかのぼるわけで。
――――15分前。
「鬼だかなんだか知りませんけど、私は逃げません!」
俺の目から、とうとう最後まで視線をそらさずそう言い切ると、ヤツは立ち去っていった。
姿が見えなくなった頃、生徒会室のドアが開いた。
「初めてだよな、零にあそこまで言った子」
克也だ。
口ぶりからして、全部聞いていたのだろう。
…趣味の悪い。
「さすが会長、見る目あるね」
からかうように、克也は言う。
「…あんのクソ猫」
――――現在。
吉野が初めてだった。