貴様!何様?会長様!?
「…おい」
――――“ビクッ”
背後からかけられた声に、思わず背筋が伸びる。
「は、はい」
「いちいちビビんなよ、面倒臭ぇな」
呆れたように息を吐く零会長。
「す、すみません…」
「気が変わった。お前、もう帰れ」
「……へ?」
ずいぶんとマヌケな声が出た。
まさか、零会長から「帰れ」なんて言葉が出てくるとは思ってもみなくて。
「え…いいんですか?」
「あぁ」
…本当にいいのかな?
みんな必死で頑張ってるのに、自分だけ帰るなんて。
「お前がいても、することはない。だからさっさと帰れ」
……確かに。
私がここにいたとしても、邪魔になるだけだ。
みんな黙々と仕事をしだしたし、さっきみたいに「手を借りよう」なんて人はいなくなった。