貴様!何様?会長様!?
「この野良猫は、俺が拾ったんだよ。俺の許可なしに触んな」
一瞬驚いた顔をした克也だっけど、すぐに笑顔になった。
「あぁ、悪いね。零のお気に入りだもんな」
「お、おきっ…?!」
克也はいつも、一言多い。
イラッとはくるものの、俺もあえて言い返しはしない。
「んじゃ、そろそろ帰ろーぜ?」
笑顔でそう言う克也に促されて、校門の方へ向かう。
すっかり暗くなり、街灯からの光が道を照らす。
夜の桜は、白っぽく少し光って見えた。
前を歩く吉野のヤツは、まだ髪に花びらをつけてるし。
「…………」
月明かりに照らされた1枚の花びらは、微かに小さく光った。
そして吉野が振り返ると同時に、はらりと風にのった。