貴様!何様?会長様!?
零会長が、私の手首を掴んだ先輩の腕を掴む。
「丁度いい、本人が来たじゃん」
少し口元に笑みを浮かべながら、先輩は私の腕を解放する。
「会長さぁ…」
「駄目です!!」
先輩が言いかけた言葉を、私が遮った。
そこにいた数人の先輩だけじゃなく、零会長も驚いている。
自分でも、驚いてる。
「なっ、お前!悪口は本人に言えって言っただろーが」
「こんな綺麗な桜の下で、人を悪く言うんですか?」
せっかくのお花見なのに。
思い出が汚れたら、きっと嫌だと思う。
「そういうのって、きっと場違いです。ここでは、お花見をしてください!勿体ないですよ?」
少しでも伝わってほしくて、背の高い先輩達の目を真っ直ぐに見上げる。
1年に1回輝くのなら、その瞬間を見てあげないと。
来年も輝けるように、見てあげないと。