貴様!何様?会長様!?



「染井零(ソメイレイ)」



染井、零。



桜吹雪の中名乗った彼は、思わず見とれてしまうほどだ。



元々の顔立ちが綺麗なのもあるんだけど、何と言うか…



彼の出す雰囲気は、桜に合いすぎている。



「お前、戻らなくていいのかよ」

「え、あ…あー!!!」



ふと我に返り、自分のおかれていた状況を思い出す。




「そこの壁を越えろ」



彼はため息まじりに、本当に面倒臭そうに言う。



「は、はい!」



返事をすると、彼はすでに先程と同じように顔に本を被せてベンチに寝転んでいた。



壁は私の身長より少し高い程度だ。



このくらいなら、余裕だ。



地を蹴り、ピョンと壁の上に飛び乗った。



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