貴様!何様?会長様!?
「れ、れれれ、零会長?!」
「…なに」
吉野の体に、力が入っているのが分かる。
次の言葉を慌てて探している吉野に、俺はどこまでも落ち着いた声で先に口を開く。
「…吉野」
「…は、い」
なんで、と言われたら分からない。
取りあえず、抱きしめてみたかった。
目の前で猫が震えてたら、誰だってそうしたくなるのと多分同じだ。
「お前は、俺のモノなんだよ」
否定の言葉でさえも、返す余裕が無かったのか。
それとも単に、俺の声が耳に入ってこなかったか。
吉野はなにも言わなかった。
「お前はもう、逃がさない」
わざと耳元でそう言い、俺は吉野を解放してその場を離れた。
あの猫は、もう手離せない。