*♥先生の彼女♥*【完】
『悠矢・・・?』
あたしは、寝起きでまだ頭があまり働かない中、悠矢の名前を呼ぶ。
それでも悠矢は、びくともしない。
しばらく悠矢の側で手を握る。
『先生・・・あのね、あたしね・・・本当はね・・・言いたい事沢山あるの。あの時あたしが悠矢を振ったのは嫌いになったからじゃないんだよ。今更何だよ?って思うよね・・・でもね、本当に今でも好きなのは先生だけだよ。後・・・言えないまま学校辞めちゃったけどココ・・・』
あたしは言葉を一旦止め、悠矢の手を取りあたしのお腹の上に置く。
『ココにね、先生との赤ちゃんがいるんだよ・・・あたし・・・何度も両親に反対されても産みたいって思ったんだよ・・・今更この子のお父さんになって欲しいなんて言わないよ。だけど、この子のお父さんである前にあたしが初めて心から愛した人だから生きてて欲しいの・・・お願い・・・目を開けて』
すると、ピクッとかすかに一瞬だけ指が動いたように感じた。
『ゆ・・・うや?』
あたしは少し驚きながらも声をかけるが目を覚ます事はなかった。
綺麗な寝顔の先生は、もうこのまま目を覚ます事がない様に思えた。
「優姫ちゃん・・・」
ドアが開き悠矢のお母さんが入って来た。
お母さんの目は赤くまるで泣き腫らしたような目をしていた。
どうしたんだろう?
悠矢の事で泣いていたのだろうか?
「優姫ちゃん、悠矢を愛してくれてありがとう。ごめんなさいね。あの子が優姫ちゃんに迷惑掛けて・・・」
いきなりそう言ったお母さん。
『いえ・・・あたしこそ先生には迷惑掛けて、沢山お世話になりました。夢のような時間を貰えました』