*♥先生の彼女♥*【完】
あたしは、悠矢の手を取りぎゅっと握り締める。
「優姫ちゃん?」
『はい』
「しばらく優姫ちゃんに任せていいかしら?」
『はい!大丈夫です』
「悠矢の着替え取りに家まで行ってくるからお願いね」
そう言うとお母さんは静かに部屋から出て行った。
静まり返った病室には、悠矢の寝息がうっすら響く。
呼吸をするのがやっとかのように自発呼吸を繰り返す。
頭には、白い包帯が何十にも巻かれている。
先生が普段伸ばさないヒゲも少しずつ生えてきて、生きているんだなと実感じた。
閉ざされた瞳には、事故直後どんな光景が映されていたのかな…
あたしはまだ先生が何で事故を起こしたのか知らない。
でもきっと、ニュースや新聞に載るほどの大げさな事故なんかじゃないはず…。
そう思っていた。