その瞳にうつるのは
ある朝
彼女はいつも不幸だった。
なにをするにも失敗するし、なにをするにも成功しなかった。
「あたしってマジ不幸…」
昨日は犬に噛まれるし、電車に乗り遅れるし。
生傷の絶えない毎日だ。
そんな彼女のクラスに転校生がやって来た。
「転校生だって?」
「超可愛いらしいぞ!!」
「マジかよ?!」
「男が良かったなあー」
なんて声がクラスのあちらこちらから聞こえる。
ガラリと戸が開いて担任の上野 恵子先生が入って来る。
「おはよう、みんな。今日は、出席の前にニュースがあります」
「転校生だよね!」
「良く知ってるわねー。ほら、おいで」
誰かのひと言で感心した上野先生は、転校生を教室へと招き入れた。
入って来たのは腰まである黒髪の背の小さめの可愛い女の子だった。
微笑む顔も可愛いらしい。
「はじめまして。よろしくお願いします♪桜井 麗亜っていいます」
声も可愛い。
クラスの男子達にも女子にも好印象らしい。
「皆さん、仲良くしてね。じゃあ桜井さんあそこの席に座って」
指定された席へと麗亜は歩いて行く。
「よろしくね。桜井麗亜っていうの」
隣は先程の不幸な彼女。
「よ、よろしく。私は堀内 岬」
「岬ちゃんね!よろしくね」
麗亜はにっこりと笑った。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop