その瞳にうつるのは
「うん、よろしく。麗亜…ちゃんはどこから来たの?」
「…アメリカだよ。ボストンの学校から来たの」
「…?アメリカ?!凄い、ってことは麗亜ちゃん帰国子女なんだ」
今の間はなんだろうと思いながらも素直な感想を岬は述べた。
「そういうことになるね」
「じゃあ英語もペラペラ?」
「良く聞かれるけど、私よりもお兄ちゃんのほうがすごいよ。私よりも長くいたから」
「お兄さんがいるの?」
「うん!ここの3年生に転校したんだよ」
麗亜の表情がパアッと明るくなった。
兄が相当好きなのだろう。
「では授業をはじめましょう。ノートと教科書27ページを開いてください」
「はーい」
上野先生が教科書を開くように指示すると皆もそれに従う。
ノートと教科書を開く音が教室中に響く。
カチャカチャと筆箱をかき回す音も。
「麗亜ちゃん、教科書持ってる?」
岬は隣の麗亜に尋ねた。
少し間があいて驚いたような表情のまま言う。
「え、ううん。ないよ」
「そっか。じゃあ、一緒に見よう」
そう言って2人の机の間に岬は自分の教科書を置いた。
「ありがとう…」
麗亜は微笑んだ。
その微笑みは天使のようだった。
「うん、どういたしまして」
ノートに黒板の文字を移していく。
教科書の問題を解いて、発言してその時間は終わった。

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