だいせんそう
volume.4
今日の空は雲一つなく、朝から早く風が吹き、私を追い越していく。
駅のホームで数少ない古ぼけた本と少ない荷物を持ち、教え子たちを目の前にまた気持ちがぶれる自分がいる。
改札を越えた時も思ったのだ。もう、平和にはもどれない----
少なくともここを離れる理由は≪だいせんそう≫でなければよかったのに、と思う。
「本当に行っちゃうの?・・・本当に・・・」
私は今にも泣きそうな教え子たちを諭すようにこう言った。