だいせんそう
向けた足を一歩ずつ交互に動かし、列車へと乗り込む。


扉は今にも閉まりそうだ。



「先生!」



後ろの声に私は振り向けなかった。

溜まった涙が今にも落ちそうだったからだ。

私は振り向かないまま、「これで、最後です」と呟く。


「私は生き物が嫌いです。でもあなたたちは大好きです」


発車ベルが鳴り、扉がゆっくりとしまった。駅構内の雑音が消え、私から何かが捨て置かれた。
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