だいせんそう
「そのとき、【痛い】って感じたかい?」
「少し・・・だけ」
「血をみてどう思った?」
「ああ・・・、血が出ているなぁ・・・って。」
「・・・・・・・・・・・・私も、怪我した時はそう思います。でも、時々ふと感じる時があります。
やがて、この血は固まってくれる、って。」
「血は・・・・・・必ず止まるときがくるんだ・・・」
クマ村さんが、自分の膝小僧を眺めて、何かに浸っているようでした。
彼の傷跡がどれだけ深いかなんて、私には分からないことだけれど、それは分からなくていいことなのかもしれない。
私は私の血さえ、今はわからなくなっているくらいだから。