土偶伝説
~Episode2~
 それはある日の夕方だった――。

 俺は友達の家に泊まりに行く予定で、自分の部屋を出ようとした時、突然電話が鳴った。

 両親は共働き、兄はアルバイトで、家には俺しかいない。
 面倒くさいなと思いながら受話器を取ると、電話の相手は土偶だった。

 土偶から電話なんて初めてである。


「何だ、土偶か。どうした?」


「里中、今日教室にマンガ本忘れて帰ったでしょ? 机の下に落ちてたから、私が預かってる」


「カバンに入ってなかったから探したんだ。やっぱり教室にあったのか。悪いな。あっ、それ読んでいいから」


 俺がそう云うと、土偶は急に黙り込んだ。


「おい、何で黙るんだよ。聞いてるか?」


 土偶の奴、急に黙り込んで一体どうしたっていうんだろう。

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