空間ラヴァーズ

ヘッドフォンを装着して、テレビのスィッチをつけた。
体を起こすとニュースをボーッと耳で聴きながら、洗い流さない化粧落としシートで化粧を落とす。
このシートは、わりと気に入っている。
なんていったって、落とした後べたつかないことがポイントだ。
わざわざトイレに行くこともない。

24時すぎ。
毎日楽しみにしている韓国ドラマを鑑賞。



「…ッ‥ひっく」


思わず泣いてしまう。
ベタなんだけど、そこが韓国ドラマの魅力。
今日のドラマの内容は、主人公の女の子のおばあちゃんが死んじゃうシーン。
このおばあちゃんだけが、主人公の唯一の肉親だったのに…。
明日も見なくちゃ。
そう決意するとテレビを消してヘッドフォンを置いた。
フロントで借りた毛布をかけて、鞄からアイピローを取り出して横になる。
電気を消し忘れたことに気づいて少しだけ体を起こして手を伸ばした。


「ふぅ…」



コツコツコツ…
外でヒールで歩く音が聞こえた。
ここは、女性の利用者が結構多い。
皆もあたしと一緒なのかな?
そう思いながら、アイピローを目の上に置いた。
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