空間ラヴァーズ

「合計で2000円になります」

「はい」

「こちらお釣り3000円のお返しになりますね」


ここは、クリーニング屋。
朝早くからやっているのは、ここぐらい。
早くといっても、もう日が出ている。
時刻は八時。
十分早いかな。
出しておいたスーツ上下とブラウスを受け取った。
会社に近いこのクリーニング屋は、綾香の行きつけだ。

近くのカフェで、受け取ったスーツ上下とブラウスに着替えた。
ここで、朝食をとって会社にむかう。
会社は、六本木にある大きなビルの中の一つ。
地下にあるロッカールームは、綾香のクローゼットのようなものだ。
綾香の部署には、制服がない為ロッカーを使う必要はほとんどない。
だからロッカールームで同じ部署の人に会わないというのは、好都合であるし、何よりロッカーを使わない綾香の事情を知っている友人にロッカーを借りることができる。
綾香の下着からジャケットにパンプスにブーツ、冬のアウターまですべて会社のロッカーに入っている。


「おはようございます」

「おはよう。加納さん、今日も一番最初だね」

「はいっ他にやることもなくて…早く来ちゃうんですよね」


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