TVから訪れた春
『樹。お前まで・・・。』
『俺よりも先につくるなんて。隅に置けないな。』
あたしは、思わず吹き出してしまった。
『おい。さくら。何笑ってんだよ。』
「あはは。ゴメン。明るい家族だな。って。龍くんの家族、素敵な人たちだね。」
『そぅか??』
照れた様子で白い歯を見せた。
『あ。照れてる。』
龍くん似の人はまたからかっている。
『五月蝿いなっっ!さくらっ!部屋!!!』
「ぇ。あ。うん。」
あたしは、龍くんの家族の事をもっと見ていたかったけど、龍くんが大変そうだったので大人しく従うことにした。
『上のすぐ右の部屋。』
「うん。あがらせてもらうね。」
『おぅ。』
階段をあがって、すぐ右の部屋。
「・・・ここかな?」
あたしは、それらしき部屋にノックをして入る事にした。
「失礼します。」
男の子の部屋って始めてだから緊張する。
案外キレイな部屋だった。
『へぃ。彼女1人?』
不意に背後で声がしたので、あたしは吃驚して
「きゃぁっ!」
と叫んでしまった。
『え。酷いな。そんなに驚かないでよ。』
声の主は龍くん似の人だった。
「あ。龍くん似の・・・。」
『樹です。』
樹と名乗ったその人。
その人は、あたしの今後を狂わせる大きな人となる。
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