TVから訪れた春
面倒なだけの授業が終わっても、”TATSU"の話題は尽きなかった。
あたしの周りにはいつの間にか、ムサイ男子が自然と集まる。
これが、放課後のお決まり。
『やっぱ、花崎はお姫様だよな。』
『TATSUなんかにうつつ抜かしてられーねよな。』
『『『あはははは』』』
「「ちょっとぉー。TATAUを貶さないでよ!!」」
クラスの女子の反論。
それでも、男子達はTATSUを貶していく。
『けど、TATSUって格好いいのか??』
『騒ぐほどでもねぇよなぁ。』
『『『あはははははは』』』
とうとうあたしは、口々に貶していく男子達にしびれを切らした。
「そんなことないよー。TATSUは格好好いと思うよ?」
『え。花崎まで?!』
「うぅん。あたしは、違うよ。
好きな人は、この学校で見つけるんだ。」
とりあえずの愛想笑い。
最後に上目遣い。
『え・・・。』
皆赤面。
そんな中、ある1人の男子だけはあたしをみつめていた。
あたしはそれに気がつかずに、
「じゃぁ、あたしもう帰るね。」
『え。もう帰っちゃうの?』
「「え~。さくら帰るんだ。じゃぁ、うちも帰ろうかな。」」
『なんで?用事?』
「うん。今日、ちょっと色々あって。」
『「「そっかぁ。」」』
『じゃぁね。明日。』
あたしに手を降る男子。
「うん。また明日ね。」
それに対して、あたしも手を振り返した。
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