四 神 〜 しじん 〜

「どうした!! 何事だ!?」

「わからない!! 敵か!?」

勾陣 玄冥 が、それぞれに矢継ぎ早に質問し、
 状況を把握するため、急いで辺りを見回す!!


「うわぁぁぁぁ!!」


 矢を受け、倒れこんだ周りの兵士達が驚き、後ずさる!!
その光景に他の兵士達も飛び上がり、矢を避けようと方々へ散り始め、陣形が乱れ出す…


「落ち着け!! 陣形を乱すな!!!」


 足下に刺さった矢に驚いた馬が、前脚を持ち上げいな鳴く。
それを落ち着かせようと懸命に手綱を引き、玄冥 は兵士に怒鳴り付けた!!


 その言葉に我に返った兵士達がようやく武器を手に列をなした時にはもう…
次々と放たれた矢が地面へと刺さり、一人二人…と矢に当たった兵士が倒れて行った…。


「方翼の陣形を取れ!!
敵は九時の方角!!
岩の上にいる!!」


「それでは駄目だ!!」


 矢を交わしながら、勾陣 が駆け込んでくる。


「ここは開け放たれていて隠れる場所がない!!
一箇所に集まるより、二手に別れた方がいい。
誰か、私に弓矢を!!!」

「両翼の陣形を取れ!!」

玄冥の号令と共に、兵士達は一斉に動き出し、
“ ハの字 ”になるように陣形を組むと、
盾を前に突き刺し、その中に身を隠す。

 その中心から、勾陣 は矢束を肩に掛け、陣形を飛び出すと、岩の上に向かって弓を引く。


「ぎゃあぁ!!」


敵の一人が矢を胸に、岩陰から倒れこんだ!!!



ドカッドカッドカッ…

荒々しい蹄の音を響かせて 勾陣 は馬を反転させると背中の矢を取り、放つ!

ドサッ!!

また一人、敵が倒される!!

ヒュッ!!

短く鋭い音と共に、周辺の空気が切り裂かれる!!


「…!!!」


「 勾陣 様!!」


頬ギリギリを矢がかすめ、玄冥 が思わず叫ぶ!!

彼は降り注ぐ矢を、剣で叩きき落とすのに必死だ!


・・・勾陣の右頬からゆっくりと…
赤い血が流れ落ちる。

だが、勾陣 は怯む事なく敵陣へと突き進むと、再度弓を引いた!!!

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