四 神 〜 しじん 〜


「・・・これは中々・・」

 “ 戦場 ”から少し離れた場所で、一部始終眺めていた“者”は、
勾陣 の素晴らしい騎射技術に、僅かながらの感嘆の声を出した。


「さすがは遊牧育ち・・・と、言う所か…
それにしても・・・。」


 苦々しい顔で岩の上から矢を放つ刺客達を見据え、そのまま戦場へと視線を移すと・・・
鬱陶し気に目を細めた。


「恥さらしな…」


一言、吐き捨てるように呟き…


「行け!!」


 鋭い指示と共に、馬の腹が蹴られた!!




陣形を組む兵士が射たれて倒れ…
 その“隙間”を狙って矢が降り注ぐ…。


「気を付けろ!!
“間”を空けるな!!!」


 玄冥の命令が飛び、兵士達が足速に動き出す…


“ 勾陣 ”が残り僅かの矢を取り、再び構えた!



……その時!!



 雄叫びのような、いな鳴きと共に、岩山の遥か上方から馬が敵陣に向けて飛び込んで来た!!


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