四 神 〜 しじん 〜
「王妃の様子は…」
「産みの苦しみにお身体がそうとう弱っております。今しばらく、絶対の安静が必要かと…」
「わかった。容態が落ち着き次第知らせよ。
後、王妃にねぎらいの言葉を…。」
「かしこまりました…」
医師は礼儀正しく一礼をすると、薬湯の用意をするように侍女達に指示を出し、部屋に戻って行った。
王はそっと他者には解らないほどのため息を付き、重い足取りで部屋を出た・・・
そして我が子がいるであろう隣接する部屋の扉を開ける……。
「・・・!?・・・」
歓喜の雰囲気とは裏腹に、部屋の中の異様な状態に王は戸惑いを覚える。
「どうした…何事だ!」
神薙の預言に対する真意はさておき、領土中が待ち望みようやく生まれた純粋な王家の血を継ぐ子供・・・
その誕生の時・・・
王は怒りを言葉に含めた。
「…髪が…髪が血を含んでいるのだと…」
既に産湯で綺麗にされたであろう我が子を、布でくるんだ状態で抱き上げていた乳母は、混乱した様子で立ち尽くしている。
動揺で、言葉がうまく続かないらしい…。
他の者達も、怯えるばかりで、誰一人として王に的確な説明をできる者はいなかった・・・。