四 神 〜 しじん 〜

「つまらん・・・。」


 すっかり“拗ねて”しまった 玄武…

…その時・・・。



「一領土の王が、そう子供のようにむくれるな…
玄冥 が嘆くぞ」


 突如の声と共に、柱の陰から一人姿を現す…。

皆が一斉に、その方向を見た!!


「ふん!!“ 今頃 ”現れる奴に言われたくないわ!!」

「…“ 支度 ”に手間取ってな・・・」


 その言葉に、玄武 は豪快に煽った酒を吹きこぼしそうになり…

気まずくて、咳き込む真似をしながら ちらっと様子を確認する・・・

 一体何時から聞いていたのだ…と。


 布を被っている為、表情が読み取れないが、その中では笑みがこぼれているように見える…


 その雰囲気に、あからさまに安堵の表情を浮かべる 玄冥と 祝融 。

そんな二人をひと睨みし…
四神の座る円席へと歩み寄る。


「お前も一言青龍に言ってくれ!!
余興のない酒など不味くてかなわんとな!!」


言いながら、既に何杯目であろう・・・
玄武 は再び、自らの酒盃を空にする。


「…確かに酒宴は“ 華 ”があってこそ盛り上がるもの・・・」


言葉とは裏腹の行動に、呆れつつも肯定し…

…ゆっくりと、頭から被っている布に両手を掛ける…

「では、遅れた“詫び”として一曲舞うとしよう…」


「この“ 朱雀 ”がな…」





「!!!!!!!!!!」



布を取り去った 朱雀 に黄竜を含め、匈奴 の者達全員が目を見張り、言葉を失う……

右賢王の手にした酒盃がこぼれ落ち…
中身が飛び散ると同時に、周辺の食器にぶつかって派手な音をたてた。



「……なっ……!」


喉が詰まって上手く声が出せず…
石にでもされたかのように全員行動を止める・・・。

・・・そして、確かめるように 黄竜 が呟く・・・




「・・・・・・“ 女 ”…?!」


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