四 神 〜 しじん 〜


疑問符の呟きと共に、
 ざわめきが辺り一面を覆い尽くす…


「…馬鹿な…
“ 朱雀 ”が女・・・!?」



「…それになんだ…?!

あの“髪”と“瞳”は…」


「・・・・・・」



 予想だにしなかった
“事実”が皆を混乱させる

 匈奴 の者達とて、朱雀を知らぬ訳ではない。

だが、 朱雀 は人前では必ず頭から布を被っており、素顔を見た者はいない…


戦場でも…
朱雀 が自在に操る身の丈もの大鎌・・・。


それは一瞬で大勢の敵を容赦なく切り刻み…

 跡形もなく凪ぎ払う。


 もはやその戦いぶりは、神掛かっているとしか言えず、どんな戦法も防御も通用しない…


朱雀の戦った跡には必ずや大量の屍が横たわる…



 それ故“鬼神”と言われ恐れられており……



匈奴の者達は動揺を隠せずにいた・・・

男だとばかり・・・。

何よりもその“ 事実 ”を当然に受け止め、疑いもしていなかった・・・


…だが、真実は・・・。




「…美しい……
何と美しい女・・・」

「・・・これが… 朱雀 …」

現実に戻り…
焔を纏う、その姿に魅せられる…



“ 神 ”を宿すこの女神は皆にとっての“ 生神 ”か…
それとも“ 死神 ”か…



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