四 神 〜 しじん 〜
ビィィィ…ン……
弦が弾かれる音が部屋中に響き渡る…
朱雀は中央に戻ると、両手で“神器”をかざした。
琵琶の音が鳴り始める…
音に合わせ、朱雀は躰を反らせると、ゆっくりと弧を描きながら剣を一周させた…
曲は『我、貴の待つ故郷を想う…』
戦場に赴く兵士が、愛しい恋人が待つ故郷を想う歌である。
《其の村に一人の女人在り豊かな黒髪、白い肌…
一つ笑めば心が躍り、二つ笑めば気持ちが和む。
過ぎる日々の山々を、見ては故郷を思い出す…。
朱く染まった地の中に、消え行く光を見つけては、故郷の華を思い出し…
それを見て、また再び貴を想う…》
青龍の…優しく、それでいて切なく絡み付くような琵琶の音色…
それに合わせ、歌を謳いながら剣を舞わせる、朱雀の華麗な円舞…
心の安らぎ・・・
至福の瞬間…
皆、言葉もなく二人の素晴らしい“楽舞”に酔いしれ…
そして…一時の夢を見る…