四 神 〜 しじん 〜
ため息混じりに言い放つその言葉には、
内に秘めた“怒り”が込められていた。
そして…
ゆっくりと白虎を見据えるその“紅い瞳”には、
冷酷な…見る者を圧倒させる、そんな迫力が醸し出されており……
思わず、剣を握る 白虎の腕が揺らぐ…。
「この“礼儀”をわきまえぬ状態で何事もなく話していられるのは、お前が我が妹“麗凰”の“婿”となる男だからだ…
私は妹を悲しませる真似はしたくない…。
それでもまだ、“この話”を続けるつもりか……!?」
「………………」
有無を言わさぬ言葉…
緊迫した場…そして……
二人の間に流れる、一触即発の空気……。
「……………」
白虎 は一呼吸置くと、朱雀に向けた“剣”を下げた…。
「…礼儀を欠いた。
お詫びする…。」
「よい……」
収められた“場”に
“ 祝融 ”“辱収”両名が大きな息を付いた。
…まるで、今の今まで呼吸をするのを忘れていたかのように…。
冷や汗が背中を伝って行くのがわかる…。
“心臓に悪い…”
とは、まさにこの事だろう
「それに、西方領からの入城がいくら“極秘”でも、少し考えればそのような事、お前の“兄達”でもわかる…」
…確かに…
すぐにそう思ってしまう“ 辱収 ”は根が素直なのだろう。
そのまま、朱雀は 祝融 と共に黄竜城を後にする…
だが…去りぎわに…
「今回の“ 黄竜 ”は中々骨があるぞ…」
朱雀 の囁いた言葉が、白虎の耳にいつまでも残った…。