四 神 〜 しじん 〜
四 章 朱雀
南方領・・・。
ここは、南方神 朱雀
の治める土地。
一年中暑いこの土地は、領土の三分の一を火山地帯で占めており、
死火山を含め、大小様々な火山によるマグマが、地脈を通じて領土を蟻の巣状に広げていた。
しかし、南方領は暑いながらも豊富な水源に恵まれており、
特に地下熱によって湧き出る数多の“温泉”は、
南方領独特の風土と混じり合い、人々に様々な薬効をもたらし、
重要な資源として、重宝されていた。
その為、
“医師”や“薬師”が多数この地に定住し、
日夜研究に励み、その薬効を元に様々な“薬”が作られ、南方領は現在、領土一の医療国でもあった。
主に“羊”を家畜としており、
“麦”と“杏”(あんず)を中心に領土内で多く作られている。
水が豊富な事から、
水栽培も盛んで、温泉の水を利用して栽培される
“朱苓花”は、
お茶の原料として特産品となっている。
守護獣 は、
霊獣 “鳳凰”
あらゆる“鳥類の王”
であり、“火”を司る
獣とされ、
灼熱の性質を表している。
よって、南方領では
“鳥”は 鳳凰 の眷属とされ、
“空を羽ばたく鳥類”
を食す事は“禁忌”とされていた。
特に“神獣”とされる
“鳳珠鳥”と“凰珠鳥”は
吉凶を表す鳥とされ、
殺生は勿論の事、
死骸や弱っている姿を見る事ですら、“不吉の現れ”とされている。
“鳳珠鳥”“凰珠鳥”は霊峰である
“紅峯山”に生息し、
雄と雌とで呼び名が変わる
“鳳珠鳥”(ほうじゅちょう)が雄で、
嘴の先端が曲がっており、
“凰珠鳥”(おうじゅちょう)が雌で、
真っ直ぐな嘴をしている。
鷹の様な、顔と爪。
大型犬ほどもある大きな体格を持ち、尾羽が長い。
七色の羽を持っているが空を飛ぶ時は“赤色”に変化する。
常に“つがい”で行動し、群れで大空を悠然と羽ばたくその姿は、圧巻である