四 神 〜 しじん 〜
「朱雀!! どうした!!!」
「…やられた……!!」
口惜しそうに呟く朱雀の元に、白虎が急いで馬を走らせ…
そして、目の前に広がる光景に言葉を失う。
二人の前に広がるのは…
端が見えない程の、
一面の “ 業火 ”…
「三日前の地揺れで、亀裂が入ったのだ…
中から地熱が吹き出してくる故、ここを完全に封鎖させていた…」
亀裂が入ったのはほんの一部分。
だが今や、通り抜ける道さえない程、荒野全体が炎に包まれている。
敵が油をまいたのだろう…それが地熱の火によって引火し、一帯を燃え広がらせていた。
ここは南方領の外れ、
広い領土の端まで来ると、さすがに人一人居る事なく完全な…砂漠にも似た荒れ地。
突如起こった地震により、地下から一部、地熱が吹き出ていると、
朱雀 が報告を受けたのはつい二日前の事。
何故、“この事”を敵が知っている!?
それより、この業火によって、東方領への近道が完全に断たれた。
青龍の治める東方領外れ
今、その地で何者かによる襲撃を受けているとの事だった。
「綿密に用意された上での襲撃だな…
案外、三日間の地揺れも人為による物かもしれない」
「そんな!! 地を割るほどの亀裂をどうやって!!!」
冷静に状況を見る白虎に、祝融は耳を疑う。
「解らん…だが、
これによって 朱雀 が足留めを食らっているのは確かだ…」
そう…
たまたま今日、
朱雀城に白虎が訪ねて来ていた以外、
襲撃の“場”に一番近い所に居るのは 朱雀…。
その 朱雀 もこの業火によって前に進む事が出来ずにいる…
これは 朱雀 も予想外だった…。
敵によって完璧に
“仕組まれ”ている!!