四 神 〜 しじん 〜


「朱雀!! どうした!!!」

「…やられた……!!」


 口惜しそうに呟く朱雀の元に、白虎が急いで馬を走らせ…

そして、目の前に広がる光景に言葉を失う。


 二人の前に広がるのは…

 端が見えない程の、

一面の “ 業火 ”…


「三日前の地揺れで、亀裂が入ったのだ…

中から地熱が吹き出してくる故、ここを完全に封鎖させていた…」



 亀裂が入ったのはほんの一部分。
だが今や、通り抜ける道さえない程、荒野全体が炎に包まれている。


敵が油をまいたのだろう…それが地熱の火によって引火し、一帯を燃え広がらせていた。



 ここは南方領の外れ、
広い領土の端まで来ると、さすがに人一人居る事なく完全な…砂漠にも似た荒れ地。


突如起こった地震により、地下から一部、地熱が吹き出ていると、
朱雀 が報告を受けたのはつい二日前の事。


 何故、“この事”を敵が知っている!?


 それより、この業火によって、東方領への近道が完全に断たれた。


 青龍の治める東方領外れ
 今、その地で何者かによる襲撃を受けているとの事だった。


「綿密に用意された上での襲撃だな…
案外、三日間の地揺れも人為による物かもしれない」

「そんな!! 地を割るほどの亀裂をどうやって!!!」

冷静に状況を見る白虎に、祝融は耳を疑う。


「解らん…だが、
これによって 朱雀 が足留めを食らっているのは確かだ…」


 そう…

たまたま今日、
朱雀城に白虎が訪ねて来ていた以外、
襲撃の“場”に一番近い所に居るのは 朱雀…。

 その 朱雀 もこの業火によって前に進む事が出来ずにいる…

 これは 朱雀 も予想外だった…。

敵によって完璧に
“仕組まれ”ている!!


< 42 / 46 >

この作品をシェア

pagetop