四 神 〜 しじん 〜

 敵の槍が一斉に“青龍”目がけて突き出される!!


“それ”を青龍は己の武器に絡め取ると、
一気に上から地面に叩きつけ、へし折った!!!


 勢いをつけた“神器”はそのまま、行き止まりの地面でしなやかにしなると、その反動を利用し…

 突如の“得物”の喪失にバランスを崩し、総倒れになった敵達を叩き飛ばす!!


 一分の無駄もない、滑らかな動き…

“柔よく剛を制す”

 そんな言葉がぴたりと当てはまる…。

 青龍はそんな戦い方をする人物だった。




「青龍王! やはり南方領への道は閉ざされているようです!!」


 偵察に行かせた兵士の報告を、
“緑”の衣を纏った男…

“句芒”は主に伝える。


「青龍…
私の騎射ならば敵の隙をつけるかもしれない!」


 青龍王の隣で弓矢を肩に応えるのは…

“黄色”の衣を纏う 黄竜………。

 黄竜は東方領襲撃を聞き付けるや否や、
直ぐ様、馬を駆って駆け付けて来たのだ。


 …“この”黄竜ならば
このような行動 に出てくるだろう…

…そして、朱雀 は足留め 白虎 も 玄武 も、
位置的に易々と来られない場所…


 やはり“真意”は 黄竜を狙ってか……

そして“私”もな……。



 ため息混じりに微笑む
青龍の笑みには、
同時に哀しみも込められていた。


< 45 / 46 >

この作品をシェア

pagetop