軌跡
一章
Don’t stop me now.I’m such a good time.I’m having a ball.
QUEENの歌う、『Don’t stop me now』で目を覚ました。睦也にとっての一日の始まりは、カーテンの隙間から射す朝日の光ではなく、時計の針が示す決められた時間でもない。この曲なのだ。
「今日もバイトか、行きたくねぇな」
テーブルの上からマルボロメンソールライトのボックスを取り上げ、その中の一本に火を点ける。すると、夢見心地な脳内には覚醒を促す刺激が走り、眠ったままの体には、より一層の倦怠感をもたらした。疲れの抜けきらない体とは、今年で二十三年の付き合いになる。一晩で伸びた無精鬚を剃り、どこかアルコール臭い口を入念に磨くと、駅まで続く道のりを歩きだした。
QUEENの歌う、『Don’t stop me now』で目を覚ました。睦也にとっての一日の始まりは、カーテンの隙間から射す朝日の光ではなく、時計の針が示す決められた時間でもない。この曲なのだ。
「今日もバイトか、行きたくねぇな」
テーブルの上からマルボロメンソールライトのボックスを取り上げ、その中の一本に火を点ける。すると、夢見心地な脳内には覚醒を促す刺激が走り、眠ったままの体には、より一層の倦怠感をもたらした。疲れの抜けきらない体とは、今年で二十三年の付き合いになる。一晩で伸びた無精鬚を剃り、どこかアルコール臭い口を入念に磨くと、駅まで続く道のりを歩きだした。