軌跡
それからたっぷり一時間、飲んだり食ったりした。テレビからは、順天堂の総合優勝を祝う様子が映し出されていた。歓喜に涙を流す選手、惜しくも破れ去った選手たちの涙を見ると、強く心を打たれた。駅伝に興味はなかったのに、今でも興味が湧いた訳ではないのに……。
「優さんは綺麗な顔をしてるね。モデルさんみたいだよ」
祖母の何気ない一言に、二人は一瞬凍りついてしまった。聞こえなかった振りをする訳にはいかない。既にテレビは消され、三人の会話を邪魔するような騒音はなかった。
「昔、雑誌のモデルをやってたんだよ」
睦也は、頬の筋肉が引きつらないように、上手く笑えるように祈りながら答えた。
「優さんは綺麗な顔をしてるね。モデルさんみたいだよ」
祖母の何気ない一言に、二人は一瞬凍りついてしまった。聞こえなかった振りをする訳にはいかない。既にテレビは消され、三人の会話を邪魔するような騒音はなかった。
「昔、雑誌のモデルをやってたんだよ」
睦也は、頬の筋肉が引きつらないように、上手く笑えるように祈りながら答えた。