軌跡
三章
カレンダーは二月に変わり、徐々に日も延びてきた。だがそれとは対照的に、冬の寒さは底力を見せ、一年で一番寒い時期を迎えた。
そんな二月も折り返しを過ぎた金曜の夜、Locusのメンバーは池袋のライブハウスにいた。出番を終えた四人は、客席のバーでお客さんように用意した、遅れたバレンタインチョコをつまみに至福の一杯を楽しんでいた。
「チョコをつまみにビールも悪くないな。ほろ苦さが増して、大人の味、ってやつだ」
物知り顔で語る太輝の前には、既にチョコの包装紙の山が出来ていた。
「まぁ、ポテチにまでチョコをまぶす時代だからな」
「げっ、それは勘弁。どんな味がするんだよ」
太輝の顔には、美食大国日本にそんなものが存在するはずはない、と書かれていた。
そんな二月も折り返しを過ぎた金曜の夜、Locusのメンバーは池袋のライブハウスにいた。出番を終えた四人は、客席のバーでお客さんように用意した、遅れたバレンタインチョコをつまみに至福の一杯を楽しんでいた。
「チョコをつまみにビールも悪くないな。ほろ苦さが増して、大人の味、ってやつだ」
物知り顔で語る太輝の前には、既にチョコの包装紙の山が出来ていた。
「まぁ、ポテチにまでチョコをまぶす時代だからな」
「げっ、それは勘弁。どんな味がするんだよ」
太輝の顔には、美食大国日本にそんなものが存在するはずはない、と書かれていた。