軌跡
「待った、待った。急にこんなオッサンに声掛けられても怪しむだけか。ヒロポン、って言えば分かるかな?」
 その試すような視線に反応する者はいなかった、……睦也以外は。
 ヒロポン? どこかで聞いたことがある。いや、何かで見たのだろうか? 
睦也は何かが引掛り、記憶の扉を押し開け、その前に並んだ戸棚を開いていった。
 ひろぽん、ヒロポン、hiropon、今年になってからではない。だとすれば去年か。ひろぽん、ヒロポン、hiro…、ヒロポン! 
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