軌跡
 ……終わった。その一言が脳裏を過ぎる。ミキサーのボリュームが下げられたのだろう、聞こえてくる音は、背後にあるアンプからの微かなノイズ音だけだった。
 静まりかえった客席。……失敗か。そう思った次の瞬間、微かに啜り泣く声が聞こえた。そして、思い出したかのようにパラパラと拍手が聞こえ、それはアッと言う間に客席を埋め尽くした。
 飛び交う称賛の声、四人は言葉にならない咆哮で答えた。
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