軌跡
「成功だよ、大成功だよ! ここ一番で君たちは最高の舞台を演出した。僕たちは賭けに勝ったんだよ」
 控室に戻ると、いつになく興奮した面持ちのヒロポンがやってきた。
「君たちは本当によくやってくれた。ここからは僕の番だね。きっといい結果を君たちに持ってくるよ」
 お願いします、四人は深々と頭を下げた。四人に出来ることはもうない。後はその命運を、ヒロポンに委ねるしかないのだ。
「あの、この後の打ち上げは、顔を出してもらえますか?」
 賢介からの問いに、ヒロポンは残念そうな表情で答えた。
「行きたいとこなんだけど、この後すぐに他の担当とミーティングなんだよ。僕がいい結果を持ってくるまで、勝利の美酒はお預けにしとくよ」
 そう言ってヒロポンは、いつものように慌ただしくその場を後にした。
「何か、おれたちよりヒロポンさんの方が興奮してたな」
 太輝の指摘に、三人は頷いた。四人は興奮する以上に、全ての力を使い果たし、脱力していたのだ。
「何か一気に気が抜けちまったよ。一杯飲みに行こう」
 睦也の提案に、三人は無言で頷き、客席のバーカウンターへ向かった。
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