軌跡
運命のライブから二週間が過ぎようとしたその夜、四人はいつものリハーサルスタジオにいた。練習中もどこか上の空、といった感じが続いたが、誰もそれをせめはしなかった。四人ともそんな感じだったからだ。
二時間の練習の半分が過ぎた頃、分厚い防音扉が前触れもなく開かれた。誰かスタジオを間違えたのか? 同じような防音扉が並んでいる、たまにはあることだ。
だが、四人の視線を浴びて立っていたのは、よく知る人物だった。
「おい賢介、ヒロポンさんが来るなんて聞いてないぞ」
三人の視線を受けた賢介も、困惑していた。
「おれも聞いてないよ。練習日と時間は伝えてあるけど」
こそこそ話のはずが、それはマイクを通し、部屋中に響いた。
二時間の練習の半分が過ぎた頃、分厚い防音扉が前触れもなく開かれた。誰かスタジオを間違えたのか? 同じような防音扉が並んでいる、たまにはあることだ。
だが、四人の視線を浴びて立っていたのは、よく知る人物だった。
「おい賢介、ヒロポンさんが来るなんて聞いてないぞ」
三人の視線を受けた賢介も、困惑していた。
「おれも聞いてないよ。練習日と時間は伝えてあるけど」
こそこそ話のはずが、それはマイクを通し、部屋中に響いた。