軌跡
 ゆっくりと頭を下げるヒロポン。
冗談だろ? 満面の笑みで顔を上げ、吉報を知らせてくれるんだろ? 
「すまない、僕の力不足だった」
 世界が凍り付くまでに、若干の時が流れた。上手く理解出来なかった。四人は放心状態のまま、続きを聞いた。
 今回選ばれたバンドは、四人とも知っていた。面識があった訳ではないが、その人気はLocusの倍以上、東京で音楽活動をしていれば、誰もが一度は聞いたことのある名前だった。デビューの噂も絶えず、一番のホープだった。まさかそんな相手がライバルだったとは……。
「最終的に二バンドに絞られ、君たちかどちらかで最後まで争ったんだ。でも、最終的に人気がものをいって……、すまない」

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