軌跡
 ヒロポンは嘘を言うような人ではない。最後まで争ったのは事実だろう。だが、それが慰めになるだろうか? 結果が全ての世界なのだ。小学生のように、〈よくがんばりました〉、そんな判子を貰っても、何の意味もない。
 あのバンドと争って負けたならしょうがない、周りはそう思うかもしれない。だが睦也は違った。そして他の三人も。負けは負け、デビューは幻として消えたのだ。 
 悔しかった。負けたことが、何より、自分たちの力量不足が。
< 197 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop