軌跡
 この悔し差を忘れるな、ヒロポンの言葉が過ぎる。だが既に睦也は、それを感じなくなっていた。
 しょせんおれなんかには、栄光は微笑まねぇよ。
 睦也は、全てがどうでもよくなっていった。
 こんなことになると分かっていれば、大切なものを失わずに済んだんだ。こんなことのために、おれは何を犠牲にしてきたんだ。
 膝から崩れ落ち、手にしていた瓶を、思い切り振りかざしていた。
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