軌跡
「なぁ睦也、少し休んだらどうだ?」
 賢介は手にしていたグラスを置き、真剣な眼差しを送ってきた。
「何言い出すんだよ、急に」
「お前疲れてるんだよ。ここ最近、立て続けにいろいろなことが起こっただろ? 気持を整理する時間が必要なんじゃないのか?」
 睦也はココロの中を、その表面の傷を全て見られているような気がして、目を逸らした。
「練習だって、ライブだってあるんだぞ、そんなこと出来る訳ないだろ」
 それとも足を引っ張るだけのおれは、邪魔か? 
 その言葉を必死に飲みこんだ。そんなことを思う連中ではない。
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