軌跡
五章
睦也は夜空に浮かぶ、切れかけの電球のような星空を見上げ、歩いていた。
「今のまま中途半端に演奏されるくらいなら、いない方がましだ」
賢介の言葉が蘇る。
そう言い放った賢介は、それ以上、睦也の意見を聞こうとしなかった。無理矢理、バンド活動休止命令を出されたのだ。明日には賢介から、太輝と秀樹、ヒロポンに事情を話すとのことだ。同席を願い出た睦也に、
「これはおれが決めたことだ、責任は全ておれが持つ。だからお前は来るな」
そう、断固として断られてしまった。
睦也はどこかホッとしていた。もちろん、休みなんていらない、今でもそう思ってはいる。だが、悩みの種の一つから解放されたような、スッキリした気分でもあった。
こんな気分は、久しぶりだった。
そのとき一筋の風が吹き、その冷たさに身を震わせた。さすがにこの時間になると、半袖Tシャツ一枚では辛くなってきた。もう時期、九月も終わりを迎えようとしている。秋は、ゆっくりと迫っていたのだ。
そういえば去年の今頃も、こうにやって夜道を歩きながらそんなことを思った。
「今のまま中途半端に演奏されるくらいなら、いない方がましだ」
賢介の言葉が蘇る。
そう言い放った賢介は、それ以上、睦也の意見を聞こうとしなかった。無理矢理、バンド活動休止命令を出されたのだ。明日には賢介から、太輝と秀樹、ヒロポンに事情を話すとのことだ。同席を願い出た睦也に、
「これはおれが決めたことだ、責任は全ておれが持つ。だからお前は来るな」
そう、断固として断られてしまった。
睦也はどこかホッとしていた。もちろん、休みなんていらない、今でもそう思ってはいる。だが、悩みの種の一つから解放されたような、スッキリした気分でもあった。
こんな気分は、久しぶりだった。
そのとき一筋の風が吹き、その冷たさに身を震わせた。さすがにこの時間になると、半袖Tシャツ一枚では辛くなってきた。もう時期、九月も終わりを迎えようとしている。秋は、ゆっくりと迫っていたのだ。
そういえば去年の今頃も、こうにやって夜道を歩きながらそんなことを思った。