軌跡
「睦也さん、今日、よかったッス」
二時間の練習が終わり、ロビーの椅子に腰掛けると、秀樹が声をかけてきた。その姿を見た賢介と太輝は、コンビニに買い出しに行くと言って、さっさと出て行ってしまった。睦也は心の中で小さく舌打ちをし、タバコに火を点けた。
「いつも、の間違いだろ」
煙を吐き出すついでにそう言い捨てると、秀樹は照れ臭そうに笑った。
「こないだはすみませんでした。生意気言っちゃって。帰ってから、里美にコテンパンに叱られましたよ」
気の強い里美に、普段はおっとりとした秀樹だ、相当絞られたのだろう。その光景を想像すると、思わず笑ってしまった。
「笑わないでくださいよ。本当に修羅場だったんですから」
「悪い、悪い。言い方は腹が立ったけど、お前の言ってることは間違ってなかった。里美ちゃんにもそう言っといてくれよ」
秀樹の顔から、最後の緊張の糸が解れた。するとタイミングを見計らったかのように、買い出しに出かけた二人が戻ってきた。両手にレジ袋を提げた姿で。
二時間の練習が終わり、ロビーの椅子に腰掛けると、秀樹が声をかけてきた。その姿を見た賢介と太輝は、コンビニに買い出しに行くと言って、さっさと出て行ってしまった。睦也は心の中で小さく舌打ちをし、タバコに火を点けた。
「いつも、の間違いだろ」
煙を吐き出すついでにそう言い捨てると、秀樹は照れ臭そうに笑った。
「こないだはすみませんでした。生意気言っちゃって。帰ってから、里美にコテンパンに叱られましたよ」
気の強い里美に、普段はおっとりとした秀樹だ、相当絞られたのだろう。その光景を想像すると、思わず笑ってしまった。
「笑わないでくださいよ。本当に修羅場だったんですから」
「悪い、悪い。言い方は腹が立ったけど、お前の言ってることは間違ってなかった。里美ちゃんにもそう言っといてくれよ」
秀樹の顔から、最後の緊張の糸が解れた。するとタイミングを見計らったかのように、買い出しに出かけた二人が戻ってきた。両手にレジ袋を提げた姿で。