軌跡
二章
目覚めると、優の姿は既になかった。今日は何かのオーディションがあると言っていた。睦也はまだ眠りを欲する体に鞭を打ち、無理やり布団から這い出た。冷蔵庫の中から牛乳パックを取り出し喉を潤すと、さっそく出かける準備に取り掛かった。
道端には落ち葉が目立ちだし、二人で買ったピーコートの活躍する十一月。空は厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな天気だった。だが、予報では一日曇りといっていたので、敢えて傘を持ちはしなかった。
駅前までやってくると、目についたコンビニに駆け込み、ATMからなけなしの現金、二万円を下ろした。ただでさえ頼りのない残高が、より一層ひもじさを増した。だが、今はそれを気にしている余裕はない、小走りで駅へと向かった。優は夕方には帰って来ると言っていたので、それまでには何が何でも帰らなくてはならない。ホームに滑り込んできた電車に、飛び付くように乗り込んだ。
道端には落ち葉が目立ちだし、二人で買ったピーコートの活躍する十一月。空は厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな天気だった。だが、予報では一日曇りといっていたので、敢えて傘を持ちはしなかった。
駅前までやってくると、目についたコンビニに駆け込み、ATMからなけなしの現金、二万円を下ろした。ただでさえ頼りのない残高が、より一層ひもじさを増した。だが、今はそれを気にしている余裕はない、小走りで駅へと向かった。優は夕方には帰って来ると言っていたので、それまでには何が何でも帰らなくてはならない。ホームに滑り込んできた電車に、飛び付くように乗り込んだ。